ジャズの故郷と呼ばれる街ニューオリンズ、その中心地フレンチ・クオーターを東西に横切る位置にバーボン・ストリートは存在します。
バーボン・ストリートはニューオリンズで誕生し発展しました。
ところが、いつしかその通りの存在は不思議な力を持つようになり、そこを訪ねた人たちによって全世界に増殖するようになりました。
全世界の大都市圏には必ずその土地に根付いた新しいバーボン・ストリートが誕生するようになったわけです。
当然の事ながら、TokyoにはTokyoなりのバーボン・ストリートが都内のどこかにひっそりと存在するのです。
仕事や恋愛に疲れた酔っ払いたちが心を癒す優しい歓楽街、それがバーボン・ストリートなのです。
バーボン・ストリートは複数の地域に同時に存在し、そして同時に消滅します。
たとえば昨夜は新橋の裏通りに存在したとしても、今夜もそこに在るとは限りません。
バーボン・ストリートは気まぐれですから、何か月も1箇所に腰を据える事もありますが、街に魅力がなくなるとすぐに消滅してしまいます。
必ずしも、ひっそりとした裏通りに存在するわけではなく、街全体がバーボン・ストリートになってしまう場合もあります。
バーボン・ストリートは愉快な大騒ぎが大好きですから、バブル期にはTokyoの各所で姿をあらわしました。
銀座、赤坂、六本木、バーボン・ストリートのもたらす熱狂にみんなが酔い痴れていたのです。
一度でもバーボン・ストリートの魅力に触れてしまったあなたは、その快楽を追い求めて、夜の街を放浪する事になってしまいますね(笑)
私も何度かバーボン・ストリートで飲んだことがありますよ。
飲んでいる最中に突然風景が変わってしまって驚きました。
空気の中に扉があって、そこを開けると同じ場所なのにまったく違う時間が流れている世界が体感できるような感じになるのです。
そりゃ単なるアル中じゃないかって?違いますよ(笑)
Good Heartなメンバーが集まって、おバカな話題で盛り上がっていると、バーボン・ストリートはやって来て顔を見せたりするのです。
みなさんも思い当たる事がありませんか?
バーボン・ストリートを体感してみたい方は陽気で楽しいお酒を飲みながら、彼の登場を待っているだけでよいのです。
突然登場する場合もありますが、ふと気付くとお店の雰囲気が変わってしまって、彼の存在が感じられる場合も多いと思います。
お寿司屋さんで飲んでいても、焼き鳥屋さんで飲んでいても、バーボン・ストリートはやってきます。
ニューオリンズに焼き鳥屋さんがあるかどうかは別にして、それはTokyoのバーボン・ストリートとしては当然のことなのです。
さあ、夕陽がゆっくりと傾いてきました。
ビルの谷間からベルベットのような漆黒の闇がゆっくりと流れ始めています。
夜の香りが漂ってくると、いよいよ今夜の主役が集まってくる時間です。
さて、酔っ払いたちはどんな風にバーボン・ストリートに旅立つのでしょうか?