韓国の熱いジャズ・シーン
ラスベガスのカジノでは観光客向けのお子様タイムをDay Shiftと呼びディーラーも2線級を配置しているが、本式の大銭打ちがやってくる夜の時間をSwing Shiftと呼びエース級ディーラーを登板させる。
カジノの空気をヒートアップさせ、ギャンブラーを興奮の渦に巻き込むためにSwing感が必要なのでしょう。
ギャンブル同様にJazzにも観客を熱狂させるためのSwing感が必要です。
今回は韓国のJazz Sceneのレポートです。
Jazzに限らず、音楽は世界共通の言語だと思う。
誰がどこで演奏してもJazzのテーマは同じだし、違うのは曲の解釈の仕方と表現方法だけです。
ライブハウスの中では人種、国籍、年齢など関係無しに、誰でもその場の雰囲気にすんなりと溶け込めます。
さて、韓国へのフライトが迫ってきました。20:30分発のAsiana105便で出発します。
2005年8月4日、成田を発って仁川に到着したのは夜の11時だった。
フライトは正味2時間弱だから福岡あたりに行くのと変わらないし、ソウルと東京は時差が無い。
実に近い国なのですね。
気温は東京と変わらないが、湿度の低いさらさらした風が吹いている。
チェックインしてからの時間が長いのは国際線に共通だから我慢するとしても、成田空港の喫煙者に対する配慮には不満がありますね・・・(ひがみかな?)
イミグレーションから開放されると喫煙ブースに突入するのは大体が日本人だしね(笑)
ikeも仁川空港の通関を突破した瞬間に喫煙ブースに突入しました。
プハ〜っとマールボロを燻らせていると、何とした事か韓国人に仁川駅への行き方を聞かれてしまいました。
まあ、アロハ姿でくつろいでいたから地元民に見えたんでしょうね。
イラク仕込みの適当な英語でごまかしましたが、到着早々に滝汗です。
さて、弟と合流してリムジンで到着したのはソウル市内では高級といわれる二村洞(Icyonngdon)のアパート。
面積は40坪くらいあるらしいが、無駄に広いこのアパートがソウルでの宿です。
翌朝は珍しく早起きして、ソウル市内の地理と通貨のレクチャーを受けましたが、ほとんど理解できませんでしたね。
今回のナヴィゲーターであるアロハブラザーは自宅のリビングでアルトサックスの練習をしています。
ikeはSelmer MarkY & Millennium Modelの撮影。
実にのんびりしたものですわ(笑)
アルトサックスの完成された機能美みたいな部分には惹かれますね、何と美しい・・・
今夜は5時から大学路(Tehanno)にあるJazz Club「千年間門(cyunnyundongando)」でMidnight Quintetのライブです。
嫌がる弟に無理やりアロハを着せましたが、演奏にどんな影響が出るのやら・・・
Midnight Quintetはギターとサックスに3リズムの編成で、リーダーはギターでとても良くまとまったコンボ。
サックス以外は20代前半ですから、演奏はパワフル!
ドライヴ感のある演奏で観客も大盛り上がりです。
1時間のステージはあっという間に終わり、Quintet唯一の高齢者であるアロハブラザーは早くもビールです。
ikeはバンドのメンバーに撮影のお礼を言って翌日の夜の再会を約束しました。
さあ、今夜は久しぶりにアロハブラザースで飲みまくるぞ(うはは)
上水(Sansu)の街はソウルの郊外で学生の多い地区です。ここで「Evans」は営業しています。
店の名前はいわずと知れたビル・エヴァンスから取ったものでしょう。
オーナーさん自身もベースを弾くので、時にはステージに上がって自ら演奏するようです。
弟の紹介で挨拶しましたが、無理して英語を使ってみたものの「はじめまして!」と日本語で切り返されました。
実は、日本の大学に留学していたので、日本語はペラペラです(あうう恥ずかしい英語を使ってしまった)
とてもフレンドリーで、音楽を心から愛していらっしゃる方です。
Jazz好きな方はぜひ遊びに行ってください。
店内のシックな雰囲気にikeも最初はドキドキしていましたが、すぐにリラックスしてしまいました。
Midnight Quintetのステージは名前の通り、深夜から開始です。
このコンボはEvansのオーデイションに応募したメンバーで結成されたQuintetです。
スロー〜ミデイアムテンポのバラードで一部の演奏は始まりました。
観客は若い大学生がメインで演奏に対する評価は厳しく、ソロが終わってからの拍手は内容次第で違ってきます。
プレイしている方は大変な緊張を強いられているみたいです(笑)
ikeはのんびり最前列でビールを飲んでいますから余裕なんですけどね。
スローで始まった一部が終わると10分後に二部の開演です。
二部のステージは一転してバップフレーズが乱れ飛ぶアップテンポのステージになりました。
ikeも他のお客さんに混じって大興奮です。
それとなく、お客さんを観察すると、カップルも多いのですね。みんな音楽が大好きってかんじで楽しんでいます。
お客さんが自然な感じでSwingしているんだよね。
さて、二部のステージもスタンディング・オベーションで終了です(おいおい!もう3時だぜ)
ステージをはねた後にQuintetのみなさんにikeも合流して打ち上げに参加しました。
片言の英語でしか会話が出来ませんでしたが、みんなで美味しいお酒を飲まくり。
ミュージシャンと飲むお酒ってとても美味しい。
話題が当日の演奏のことだったりすると感想を言い合ったりします。
(ちゃっかりアロハシャツのリサーチもさせていただきましたぜ)
今夜もヘロヘロに酔っ払ったアロハブラザースはバンドのメンバーと別れてタクシーで帰宅〜
いよいよ韓国も最後の夜になりました、今夜は韓国で最高のJazzスポットとされる「All That Jazz」でライブ。
韓国Jazz界でトップクラスのピアニスト、イ・ヨン・ギョン大先生のトリオにアロハブラザーが参加させてもらっています。
梨泰院(Itewon)の街は国際的な雰囲気で、メインストリートには熱気がみなぎっています。
さて、このトリオは変則的な編成でピアノ、ギター、アルトです。
もともとはヨン・ギョン先生と弟がデュオでやっていたところにギターが参加して現在のトリオになったとの事です。
ステージの前にヨン・ギョン先生に紹介されたikeは一発で酔いが覚めて緊張してしまいました。
ヨン・ギョン先生のGod Handは柔らかく暖かかったです。
トリオがステージに上がると演奏は突然始まりました。
ヨン・ギョン先生のピアノソロが滑らかに舞い上がり、ギターのリズムキープから逃れるかのように音が圧倒的な激しさで流れ出します。
やがて、アルトのソロが始まるとピアノとギターの2リズムが力強くバックにまわります。
こんな素晴らしいリズムをバックに吹けるなんてアロハブラザーは幸せ者デスネ。
ikeはあつかましくも最前列でヨン・ギョン先生のGod Handを至近距離から眺めていました。
アタックの鋭さ、メロディーの美しさ、表現できないほどの素晴らしい演奏です。
ステージが終わるとトリオのメンバーとビールで乾杯です。
もうアロハブラザーは疲労困憊でフラフラしています。
当然ですよね、すごいトリオでやらせてもらっているのですからね。
私たちが飲んでいると、お客さんや他のバンドのメンバーが集まってきてすごい騒ぎになってきました。
Jazzが大好きな人たちが集まって心の底から音楽を楽しんでいます。
夜は更けていきますが、店内の熱気は冷めません。在韓米軍の音楽好きも合流してきて、もう最高な夜です。
ここまで韓国のJazz Sceneを楽しんできて、ふと日本のJazzを考えてしまいました。
確かにレベルは高いのですが、「楽しもうって気分は韓国の方が上なのではないか?」と思ってしまいました。
それとJazz Clubに集まってくるお客さんがステージを盛り上げている姿には大感動です。
観客の熱狂が演奏にダイレクトに反映しているのです。
短い期間でしたが、韓国の夜を堪能できました。
ぜひ、もう一度訪れたいものです(みなさんもご一緒にいかがですか?)
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